はじめに

エントリーシートの書き方

まさに就活の代名詞ともいうべき存在、それがエントリーシートです。「まあ、履歴書とか経歴書に毛が生えたようなもんでしょ?」こんな風に軽く考えていては、痛い目にあいかねません。

 

企業からみると―――特に大量の応募がやってくる大企業などでは―――応募者を絞り込んでいくのは大変な作業です。面接に進んでもらう学生を厳選する必要があるので、エントリーシートで大半の応募者を不合格にしてしまいます。

 

いってしまえばエントリーシートは応募者をふるいにかけるためにあるのです。よって、エントリーシートの段階でふるい落とされないよう、上手な書き方を身につけておく必要があります。いまから具体的に見ていきましょう。


エントリーシートとは

まず、履歴書とエントリーシートの違いについて、どのようにとらえているでしょうか?「履歴書に書いてある内容を、細かく長々と書くのが、エントリーシートなんでしょ?」

 

しかし、考えてみてください。そもそも、エントリーシートは履歴書とは別に提出を求められるものです。つまり、履歴書とは違ったねらいでエントリーシートの提出を求めている、ということですよね。

 

それぞれの書き方を理解して取り組まないと、あなたの就活は書類専攻の段階で上手くいかなくなってしまいます。では、エントリーシートは、履歴書とどこがどう違うのでしょうか?

 

まず第一に、エントリーシートは企業側から用紙(フォーマット)を手に入れる必要があります。企業説明会などへの参加、あるいは企業のホームページからダウンロードするなど方法はさまざまですが、企業によって記入する内容が異なるという点が履歴書と大きく異なります。

 

第二に、エントリーシートはあなたの将来のビジョンについて問われるという点があります。 履歴書は文字通り、その人が歩んできた履歴を記すものであり、過去の歩みについて記すものです。

 

対してエントリーシートの方はというと、「企業に入ってから何がしたいか」「あなたの長所をどう役立てていきたいか」といった、将来のビジョンを記す必要があります。この違いをよく認識して、書き方を考えていく必要があるでしょう。

 

以上のように、エントリーシートと履歴書との違いを定義すると、「エントリーシートをなんのために書くのか」もはっきりしてくると思います。

  1. 入社後のビジョンを明確に示す
  2. あなたの長所を的確にアピールし、仕事にどう生かすのかを具体的に記す

こうしたことに留意して、エントリーシートを書いていく必要があるのですね。

人事がエントリーシートで見ているポイントと意図

エントリーシートの審査に当たって、企業はあなたの何を見ているのでしょうか?書き方の重要なポイントがいくつかあります。

 

理解力について

まず問われるのは、「理解力」でしょう。これはエントリーシートの「記述以前」の問題です。 「書く」以前に、まずエントリーシートで問われている内容を理解できているか、企業は見ています。

 

書く以前の段階で、エントリーシートで問われている内容を正しく理解できているかが、最初のチェックポイントとなります。作成者の目線に立って「この質問は何のためにしているのだろう?」と考えるのが有効です。

 

思考力や常識について

次に問われるのは、的確な記述をする「思考力」「常識」です。問われた内容について、ちゃんと自分の頭で考えられているか、個性をアピールしつつも常識をわきまえて記述できているか、そんなところを企業は見ているのです。それが社会人として世の中で通用するための、基本でもあるからです。

 

志望動機について

これらの要素をクリアした上で、最終的に問われるのは「志望動機がどこまで真剣か」です。企業は、「とりあえず受験する」といったいい加減な受験者ではなく、入社後の仕事に具体的な展望を持った人材を求めています。

 

この企業でこういうことがしたい・・という将来のビジョンを示すことで、企業はあなたの真剣度をはじめて認めてくれるのです。

エントリーシートを書く際の注意点

エントリーシートの基本的な書き方として、注意すべき点は以下のようなことです。

 

読み仮名に注意

「ふりがな」とあればひらがなで、「フリガナ」とあればカタカナで書きましょう。

 

印鑑をきれいに捺すこと

まんべんなく朱色がつくように、丁寧に捺しましょう。

 

写真の裏側に名前を

時には写真がはがれ落ちてしまうこともあります。自分の写真だと分かるようにしておきましょう。

 

筆記用具でも差がつく

安いペンでは、字がかすれたりして読みにくくなることも。お金をケチるべきではありません。
また、最近は印刷して提出する場合もありますが、ぶれて印刷されていないか、インクがかすれていないかなどしっかりチェックしましょう。

 

日付欄にも注意

持参する、ポストに入れる、いずれの場合もその当日の日付を記入しましょう。

 

修正液・修正テープは使わない

中にはマイナスの評価をする企業もあります。使わないのが無難です。

 

誤字脱字に注意

友人と読み合わせるなどの対策も有効でしょう。

 

丁寧に、まっすぐ記述

きれいな字でなくても、せめて行が曲がらないよう、まっすぐ丁寧に書きましょう。

自己PRの書き方

エントリーシートの中心となるのが自己PRです。企業の担当者に対し、あなたをどうアピールしていくか、以下のノウハウが大切となります。

 

自己PRでは、あなたの優れたところを積極的に伝える必要があります。日本は「謙遜すること」が美徳とされる面もありますが、就活の熾烈な競争を勝ち抜くには、そんなことも言っていられません。

 

もちろん、あまりに過剰なアピールや、自慢話のような記述は論外です。成功者のエントリーシートを研究し、適切な自己PRの書き方を身につけましょう。

 

エントリーシートの自己PRで次に大事なのは、あなたの長所が「仕事でどう役立つか」を的確にアピールすることです。自己分析・企業研究をしっかりして、「自分の長所」と「企業が求めるもの」を上手く結びつけて記述しなくてはいけません。

 

たとえば営業職を志望するとして、「私は本を読むのが好きで、知識が豊富です」などと書いたら、企業はどう受け止めるでしょうか? 「営業の仕事には、社交性や断られてもめげないタフさが必要なんだよなぁ。」と思われる可能性もあるでしょう。

 

就活においては、長所はただアピールすればいいわけではなく、仕事と上手く結び付けてのアピールが必要になるのです。

 

そしてもうひとつ付け加えるなら、長所と同時に短所についても、巧みに記しておく必要があります。

 

もしあなたの周りに、自分の長所ばかりを延々と語る人がいたら、どう思うでしょうか? 本人にその気がなくても、「自信家でごう慢なヤツ」というイメージを持たれる恐れもありますよね。

 

エントリーシートにおいても同様で、長所を強くアピールするからこそ、その中に短所についても上手く記述しておく必要があるのです。自分の短所についても的確な分析を記してこそ、企業側はあなたの謙虚さやバランス感覚を評価してくれるのです。

 

以上の基本的な方針をふまえたうえで、自己PRを記述する上での細かいポイントを見ていきましょう。

 

結論を冒頭で述べる

文末よりも冒頭で結論を述べた方が、担当者に読みやすくなります。

 

あなたの長所を分かりやすく記述する

企業に売り込みたい強みはなにかを考え、だれが読んでもわかるように記すことが必要です。

 

長所を生かした、具体的なエピソードを記述する

「私は●●が得意です~」と言っているだけでは、企業側に強みが伝わりません。強みを生かして成功した、具体的なエピソードを記しましょう。ここで具体的な数字(売上が一割上がった。大会で三位に入賞したなど)があるとよりエピソードに信憑性がでるのでおすすめです。

 

長所が入社後の仕事でどう生かせるかを記述する

あなたの長所を、入社後の仕事と結びつけて記述することが大事です。

 

短所についても、適度に触れておく

長所をアピールしつつ、短所にも少しは触れておくことで、謙虚さやバランス感覚をアピールできます。そして、短所をどのように補っていくか、そのために努力していることを書くのもよいでしょう。

 

友人と添削しあう

分かりやすく書いたつもりの文章でも、他人が読むと伝わりにくいことはよくあります。友人同士でエントリーシートを添削し合い、他人が読んでも分かりやすい記述ができているか、チェックするのが有効です。

自己アピールのポイントを、例文から具体的に考える

【例文1】
「自分の長所を積極的に生かし、御社に貢献できたらと思います」

こちらの場合、立派なことを言っているようですが、長所がなんなのか、仕事にどう生かせるのかが、この記述からは分かりません。

 

直すとすると「自分の社交性や明るい性格を、営業の仕事に生かすことで、御社に貢献できると思います」とでも書けば、あなたの長所と仕事が結びついた記述になります。

 

【例文2】
「私は体力に自信があり、性格も明るく前向きで、社交性に富み、友人も多く、なおかつ話術にも優れており~~~……、よって営業の仕事に適性があると思います」

こちらの場合、長所のアピールはいいのですが、あまり列記するよりも、一番の「売り」を簡潔に書く方がベターです。さらにはこうしたアピールの間に、短所についても少し触れておくと、返ってイメージがよくなります。

志望動機の書き方

志望動機について、企業側が見ているのは以下の3つの点です。

 

きちんと研究しているか

まず第一に、業界や企業についてちゃんと研究しているかがチェックされます。「なんとなくカッコイイから、テレビ局を受験する」「おしゃれだから、アパレル関係に就職したい」

 

こんないい加減で子供じみた学生は、企業に嫌われてしまいます。業界や企業についてちゃんと調べた上で、中身のある志望動機が書かれているかを、企業側はチェックしているのです。

 

自身と企業が求めているものがマッチしているか

第二には、あなたと企業がどの程度マッチしているかが見られます。

 

どのような企業にも欲しい人材・求める人材というものがあります。経歴・性格・長所などから如何に自身が企業にふさわしい人材かをアピールすることで、企業に雇うメリットを伝えることが重要です。そのためには、業界・業種・企業の知識が必要になります。

 

志望動機が真剣かどうか

第三には、志望動機が真剣かどうかが問われます。

 

あなたの真剣度を示すためには、入社後のビジョンをできる限り明確に示すことが大切です。「御社でこんなことがしたい」という具体的な目標を記すことが、あなたの志望動機が真剣であることを、企業に伝えることにもなるのです。

 

以上をふまえ、志望動機を記述するうえでの具体的なポイントを見ていきましょう。

 

結論を冒頭で述べる

自己PRと同様、文末よりも冒頭で結論を述べるようにしましょう。

 

業界の情報をふまえた記述

志望動機が本物だと示すには、業界の知識をふまえた記述が必要です。

 

企業があなたを雇うメリット

企業にあなたを雇うメリットがあることを記述します。

 

入社後のビジョンを示す

入社後の仕事について具体的なビジョンを示せば、あなたの真剣さが伝わります。

 

第一志望であることをアピール

企業は優秀な学生に対しては、内定を出して蹴られることを恐れます。第一志望であることをアピールしましょう。

 

友人と添削しあう

自己PRと同様に、友人同士でエントリーシートを添削し合いましょう。他人が読んでも分かりやすい記述ができているか、チェックすることが大切です。

志望動機の記述ポイントを、例文から具体的に考える

【例文1】
「入社後のビジョンとしては、とにかく先輩方の指示に従い、一生懸命頑張りたいです」

こちらは、悪いことを言っているわけではないのですが、ただ一生懸命云々というだけでは「ビジョン」とは呼べません。もう少し具体性を盛り込むように、工夫してみましょう。

 

【例文2】
「とにかく御社が第一志望です」

こちらは、「第一志望」と口で言うだけなら、だれでもできます。より具体的に「御社の環境で●●がしたい」というアピールができれば、熱意を信用してもらえます。

まとめ

以上見てきたように、エントリーシートの書き方については注意すべきことが山ほどあります。 抜け目なくあなたの長所と熱意をアピールし、就活の第一関門を突破できるよう、努力しましょう。

自己PRや志望動機ができたら誰かにチェックしてもらおう

自己PRや志望動機、面接など自分自身で「できた」と思っても必ず他の人からチェックしてもらってください。家族や友人では恥ずかしいと感じられる方は以下のようなサービスもございます。プロの目からアドバイスをもらうことができ、また就活の悩みも相談できるのでおすすめです。