はじめに
志望動機を書くにあたって、重要な点があります。 「企業に入りたい『動機』を書くんだから、熱い想いをガンガン伝えればいいんだよね?」 こんな風に思っている方も、いらっしゃることでしょう。
たしかに、企業に対して情熱を伝えるのは重要です。しかしそのことに気を取られるあまり、志望動機でもっと大切なことが、おろそかになってしまう危険があるのです。 それは、企業をとことんまでよく知ることです。
いくら情熱をアピールしたところで、その企業のことをよく知らないまま、志望動機を書いても、中身のある志望動機にはなりません。 企業側も「ウチの企業のことを、本当に分かっているのか?」と、厳しい評価を下すことでしょう。独りよがりの志望動機には価値がないということです。
今回は「志望動機の書き方~準備編~」として、志望動機の作成における重要事柄を中心に、ご紹介していきたいと思います。
【準備1】面接官が志望動機を重要視する理由を知る
エントリーシートに限らず、入社試験全体を通して、企業は志望動機を非常に重視して選考を行います。人材の選抜においては、能力や資格、人柄など、他にも重要視すべき要素はたくさんありますが、どうして志望動機が特に重視されるのでしょうか?
熱意を知りたいため
どんな企業であれ、新入社員は入社後にそれなりの困難に直面します。それでもめげずに改善を重ねて成長し、企業の戦力になってくれる人材を、企業は求めているのです。決してあきらめない情熱こそが、問われています。
また学生が優秀であるほど、企業は内定を蹴られることを恐れます。そのため「内定を出せば、必ず入社してくれるだろう」と企業に思わせるだけの、情熱を表現しなくてはなりません。
ここで注意すべきは、熱意を示すといってもただ想いを熱弁すればいいというものではないことです。どうして他社ではなくその企業を志望するのか、入社後に何をしたいのか、具体的に示すことが重要なのです。
業界や企業のことを理解しているかをみるため
前項とも関わってくることですが、企業を志望する理由や入社後のビジョンを示すには、業界や企業について熟知していなくてはなりません。「御社の社風にひかれ…」といったありきたりな志望動機ではなく、業界の動向を押さえたうえで自分の目標を語ったり、企業の特色にあわせて仕事のビジョンを示すことが重要となります。
幸い、現在はインターネットが発達しており、情報を集めることには容易です。業界の主要ニュースを押さえ、企業のホームページを熟読するぐらいは、当然やっておかなくてはなりません。また、企業の説明会などでもらう資料も要チェックです。
ポテンシャルを測りたいため
企業は当然ながら、あなたの能力・資質もチェックしています。こちらも、前項と関わってくるのですが、業界や企業についての知識や、担当者を納得させるだけの志望動機を示せるかが重要です。
文章の中に、あなたの個性・知性がキラリと光るようであるといいですね。当然ながら、文章の構成力や基本的な日本語が使えているかどうかも重要な判断基準です。
【準備2】企業が就活生に求める要素とは?
企業が就活生に求めているのは、その人なりの志や、未来へのビジョンです。主に以下の2つの観点から、的確に記述しておく必要があります。
要素1・・どのようにしてその企業に貢献していくのか
あなたにどんな能力があって、それを企業の仕事でどのように生かしていくかを、具体的に示さなくてはいけません。企業は事業・業務の戦力になる人材を求めています。「その企業がどんな業務をしており、あなたがそこでどう役に立つか」を、分かりやすく記述する必要があるのです。
要素2・・その企業じゃないといけない理由
志望動機の記述において、最難関となる部分でしょう。ここで選考担当者を納得させるには、なにより「同業他社との違い」を見つけることが重要です。ありきたりな志望動機を出しても「そんなの、同業他社でもいいじゃん」と思われてしまっては、企業を納得させられません。
同業他社にはない、その企業ならではの個性をピックアップしたうえで「他社様には無い魅力を感じたので、御社を志望します」と訴えなくてはなりません。
【準備3】企業研究の必要性と志望動機にどう利用するのかを知る
いくら「志望企業に入りたい!」といっても、その企業の特徴を把握していなくては、説得力のある志望動機は書けません。また、企業についてよく理解しておかないと、企業の求める人材像とフィットしない恐れもあります。
どの就活生も、多くの企業を受験することでしょう。ひとつひとつの企業をじっくり調べるのは、面倒なことだとは思います。
しかし、企業研究を十分にしておかないと、いい志望動機を仕上げることはできないのです。就活においては、「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる」は通用しないのです。
【準備4】志望動機に使える企業研究のやり方をご紹介
それでは、企業研究では具体的に、何をどう調べればいいのでしょうか?重要な項目は、以下のようなものです。
職種
「営業職」「事務職」「技術職」など、ひとつの企業にも様々な職種(仕事の種類)があります。これはもう、企業研究のイロハのイというべきでしょう。
仕事の内容をちゃんと把握しておかないことには、企業を受験するどころではありません。また、志望する業種がその年度は募集をしていない場合もあります。採用情報はしっかりチェックしましょう。
勤務条件
いくら企業や仕事に魅力を感じても、給与や勤務地、勤務時間といった基本的条件が合わないことにははじまりません。あとになって「そんなの聞いていないよ」なんてことにならないよう、勤務条件はしっかり見ておきましょう。また、福利厚生や各種手当も要チェックです。
企業の特徴
先にも述べたことですが、「同業他社と比べて何が違うのか」という点が、特に重要です。志望動機に「他社様にない、御社ならではの魅力はココだと思います」と書ければ、とても説得力が増します。多くの企業ではホームページに他社との差別化についてPRしているので、確認してみましょう。
企業の将来性
入社後のあなたの将来に関わってくる問題なので、企業の今後についても見通しておく必要があります。新聞や業界専門誌などで、その企業がどのように評価されているかを見ておきましょう。また上場企業であれば、株価の動向なども目安になるでしょう。
関連企業
大企業であれば、多くの関連企業を持っています。たとえば自動車メーカーであれば、各種部品を製造する企業や、技術研究に特化した企業、さらには自動車ローンや損害保険の関連企業まであります。
本社と関連企業が、それぞれどのように連携しているかを知ることで、グループ全体の業務の流れをつかむことができます。こうした内容を、具体的にどうやって調べればいいでしょうか。主に以下のような方法があります。
【やり方1】ホームページ
企業のホームページを徹底的に見ておくのは、就活の基本です。特に新卒者用のページなどは、企業が志願者に伝えたいことをわざわざまとめてくれているのですから、熟読必須です。
【やり方2】企業説明会
説明会は企業が志願者のために情報を提供してくれる、貴重な機会です。説明会といっても受け身で臨むのではなく、事前に企業や業界についてよく調べたうえで、質問事項を整理してから行くといいでしょう。
【やり方3】OB訪問
OBのいる企業であれば、アポを取って訪問できればベターです。実際に企業で働いている人の声はとても貴重であり、企業の風土や環境をつかむのに最適です。また、せっかくOB訪問ができるのであれば、事前に企業研究をしっかりして、質問事項を整理してから行きましょう。
以上が、志望動機を書くにあたっての、基本的な準備であり注意点になります。
まとめ
こうした当たり前のことも、実際にはできていない就活生がたくさんいます。だからこそ、まずは当たり前のことを着実にこなすだけで、他の人に差をつけることもできるのです。