はじめに

自己PRの書き方~実践編~

エントリーシートの作成にあたって、志望動機とならんで大きな柱となるのが、自己PRです。志望動機では入社への熱意や、仕事に対するビジョンが問われるのに対し、自己PRでは「あなたという人材の強みは何で、それがどう仕事の役に立つのか」が問われます。

 

あなたの魅力そのものを、仕事とからめつつ、的確に伝える必要があるのです。「自分の魅力を言えばいいの?そんなの簡単」こう思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは就活の第一関門。そんなに甘いものではありません。

 

どうすれば書類選考で落とされずにすむのか?他の受験者との競争を勝ち抜き、面接に進むコツは何か? いまから自己PRの書き方をじっくり考えていきましょう。


自己PR NG集3選

では、自己PRは具体的にどう書いていけばいいのでしょうか。まず「自己PRでやってはいけないこと」を押さえておくことで、失敗を防ぐことができます。

 

以下の「NGな自己PR集」を頭に入れて、書き方を考えてみてください。

 

【NG1】自分を偽り過ぎる

企業に自分をよく見せたい気持ちは、よく分かります。しかしこれをやってしまうと、就活では99%、逆効果となってしまうのです。

 

「自分を優秀に見せよう」「カッコよく描こう」と思ってウソを書いたり、いきすぎた脚色をしてしまうと、ロクなことになりません。作り話はどこかでボロが出ますし、自分を完璧なスーパーマンのように描いてしまうと、かえってウソくさい自己PRになってしまいます。

 

また、仮に誇大的な自己PRで書類選考を通過したとしても、今度は面接が苦しくなります。ウソ八百の大げさな自己PRに対しては、面接担当者からきびしいツッコミが入るでしょう。付け焼き刃の対応で今までに多数の人材をみてきた人事の目をごまかすのは不可能です。

 

あくまで自分という人間の可能性をプレゼンする場なので、フィクション小説のような脚色は避けましょう。

 

【NG2】企業のニーズにマッチしていない

自己PRといっても、実はただ単に自分をアピールすればいいものではありません。「自分が企業にとって、どう役に立つか」を訴える必要があるので、あなたの長所(アピールポイント)を、仕事と結びつけて記述する必要があるのです。

 

【NG3】具体的なエピソードがない

たとえば、自己PRでいくら自分の長所を挙げても、そこに具体性・説得力がなければ、決して企業には評価されません。

 

大学での体験であれ、アルバイト先の話であれ、実体験を盛り込みましょう。例えば「リーダーシップがある」というPRでも、「バイトリーダーとして5人ほどの後輩を指導していた」などのエピソードを交えて説明することで説得力が生まれるのです。

自分の長所の選び方

さて、自己PRの作成に悩んでいる人のなかには、こんな風に思っている方もいるかもしれません。

 

「『長所をアピール』しろなんて言われても、困っちゃうよ。僕は長所なんてない人間だもの」

 

常日頃、自分の長所や短所を意識して生きてきた人は多くありません。ですから、就活には自己分析が必要となるのです。しかし、新入社員を採用して、来春から毎月給料を払っていく会社の立場になって考えてみましょう。

 

もしあなたが会社の社長や管理職だったとしたら、「僕には長所がありません」なんていう学生に、内定を出したいと思うでしょうか? おそらくそんな会社は、日本のどこにもないと思います。

 

では、「僕には長所がない」と思っている人は、どうやって自己PRを書けばいいのでしょうか?そんな場合の書き方について、考えてみましょう。

 

長所は短所と表裏一体

まず第一に、簡単に自分の限界を決めて、あきらめてしまわないことです。「長所がない」と決め付ける前に、自分のことを徹底的に分析してみることです。そうすれば、必ず何らかの長所は見つかるものです。

 

たとえば、こんな風に思って自信をなくしている就活生さんもいるかもしれません。

 

「自分なんて、引っ込み思案で、社交性もないし、趣味は読書くらいで、何もない人間です……」

 

そうマイナスばかりにとらえることなく、物事をポジティヴに言いかえてみましょう。たとえばこのようにです。

 

  1. 引っ込み思案・・謙虚な性格で、自分をわきまえている。冷静沈着である。
  2. 社交性がない・・大学時代は読書や資格取得など、勉強に専念した。
  3. 趣味は読書くらい・・本を読むのが好きで、何事にも好奇心が強く、研究熱心である。

 

こう言いかえてみると、たくさん長所のある魅力的な人材にみえませんか。人間の長所と短所は表裏一体です。自分の「短所」だと思っている部分を、別の角度から見たり、裏返して見たりすることで、あなたの隠れた「長所」も浮かび上がってくるものなのです。

 

長所と仕事を結びつける

もちろん、ただ長所をアピールすればいいというものではなく、企業の求めている人材像と上手くフィットさせたうえで、アピールしなくてはなりません。自分の長所を、入社後の仕事と結びつけて論じることで、より優秀な人材と評価されやすくなるでしょう。

例文から学ぶ自己PRの書き方

それでは、よりよい自己PRの書き方を学ぶため、いくつか例文を見ておきましょう。

 

【例文1】

NG例文
「私は大学時代、よく学び、よく遊び、なおかつアルバイトでも汗を流しました。幅広い人脈を築き、充実した学生生活を送ることができました。この経験をぜひとも御社で生かしたく思います」

具体的なエピソードに欠け、なにが言いたいのかさっぱり分からない自己PRですね。

  • 大学でなにを勉強したのか?
  • 遊びはどんな遊びで、そこから得たものは何か?
  • アルバイトの仕事で何を学んだのか?
  • 多くの友人たちと何に取り組んだのか?
  • 学生生活で何がいちばん充実していたのか?

上の自己PRを読んでも、まったく伝わってきません。自己PRは大学の卒業文集ではありません。あなたの長所を具体例とともにアピールし、なおかつそれがどう仕事とつながるかを、的確に記述する必要があるのです。

 

【例文2】

NG例文
「私は物静かな性格で、周囲からも冷静沈着であるとの評価を得ています。また研究心が旺盛で、読書がとても好きです」(営業職志望者の自己PR)

一見、よくできた文章のようですが、これが営業職志望者の自己PRである点に注意です。営業職の志望者がこんな自己PRを送ってきたとして、人事担当者はどう感じるでしょうか?
「物静かで、読書が好きなヤツに、営業の仕事なんて向いているのか?」

 

こう受け止められてしまうことでしょう。

 

営業の仕事はとにかく対人関係能力が求められます。さらにはパワフルな仕事姿勢や、アグレッシヴ(積極的)な売り込み力が問われるケースが多いです。そんな職種においては、「物静かで読書好き」な人材は不向きと判断されるリスクがあります。

 

ただ自分をアピールするだけでなく、「自分が企業にとって、どう役に立つ人材なのか」を、志望企業の社風も踏まえた上で、しっかり伝える必要があるのです。

 

【例文3】

NG例文
「私はリーダーシップがあるので、御社でも同期社員のまとめ役になれたらと思います。将来的にはマネジメントで力を発揮したいです」

これまた、立派な自己PRにみえますね。しかしこれで評価してくれるほど、企業というのは甘い相手ではありません。これを読んだ大半の採用担当者は、「リーダーシップなんて口で言っているだけで、本当にあるかどうか分からないじゃん」……と受け取るでしょう。
つまりどんな長所のアピールでも、「その長所が生かされた具体的エピソード」が無いと、決して担当者の心にはとどかないのです。

 

それでは上記の自己PRを、こう書き直したらどうでしょうか。

例文
「私は大学時代、様々な集団で指導的ポジションを与えられ、自分なりにリーダーシップを発揮できるよう努力してきました。サークルでもめ事が起きたときは、すぐに当事者それぞれと話しをして、組織内の折り合いがつくように努力しました。
またアルバイト先では、特に新人さんとコミュニケーションを取り、組織にチームワークが生まれるよう尽力しました」

このような具体的なエピソードとあわせて記述することで、あなたの自己PRが説得力を持つようになるのです。とにかく自己PRの作成に当たっては、まず自分という人間を謙虚に見つめることが必要です。

 

そのうえで、以下の方向性で執筆を進めてみましょう。

  • 自分の特徴をポジティヴにとらえること。
  • 自分の長所を、「仕事にどう役立てるか」という観点から記述する。

まとめ

自己PRの作成は難しい反面、書き方のコツをつかんでしまえばこちらのものです。 ここを乗り切ることで、あなたが自分自身を客観視し、見つめなおすきっかけにもできるのです。

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