はじめに

同業他社の中からなぜそこを選ぶのか

面接の際には志望動機を必ず聞かれますが、その際には多くの同業の会社があるにもかかわらず、その会社を選んだ理由を明快に答える必要があります。会社としては業務に意欲的に取り組み、会社の発展に貢献してくれる人材が必要で、その点を見極めるためにも志望動機というのは1つの大事なポイントになります。
そこがあいまいな人は意欲的に業務に取り組めない、会社に貢献できない、就職してもすぐに辞めてしまうと思われる可能性が高く、採用される可能性が低くなります。

 

はっきりとした志望動機、たとえば「人の役に立ちたいから」というものがあるかもしれません。でも、それだけなら他社でも可能であることから説得力がありません。もし、人の役に立ちたいのであれば、その願いを実現するためになぜその会社でなければならないのか、その会社の何が自分の希望の実現とマッチしているのかといった点を説明する必要があります。
明快に説明するには興味がある会社に関する情報を集めるだけにとどまらず、情報を分析し、その会社の特徴を知り他社との違いを明確にし、なぜ自分は他社ではなくこの会社を選ぶのかということをはっきりさせることが不可欠です。


企業特有の特徴とはどのようなものなのか

これは同業他社にはないその会社の際立っている点です。会社の特徴は会社の概要や理念、経営ビジョン、ビジネスモデル、サービスや技術といった点に現れます。複数の会社をピックアップしてこれら比較すると各会社の際立った点が明らかになってきます。

 

企業理念には会社の方針はもちろんですが、仕事のあり方、社員に求める姿なども含めている会社があります。経営ビジョンはその会社が近い将来実現を目指しているもの、やろうとしていることを示しています。○年後に売り上げを〇倍にするなど具体的な目標値を掲げている会社も少なくありません。ビジネスモデルを見ると、ターゲットとしている客層、サービスや商品の提供価値、提供に至る仕組みなどがわかります。

 

たとえば、アパレル関連の会社であるユニクロでは企画、デザイン、生産、販売までをすべて自社で行っています。その結果、卸や商社など中間流通にかかるコストを削減して他社と同機能の製品を低価格で販売することが可能になっています。また、カジュアルウェアに特化し、低価格でありながら高品質の商品を販売しています。

 

トレーニングジムのライザップではダイエットではなくボディメイクという言葉を使用し、パーソナルトレーニングのスタイルで、施設に経費のかからない筋肉トレーニングをメインとしています。また、誰でも知っている有名人をCMに起用して、トレーニング前と後の劇的な違いを見せることで業績を伸ばしてきました。

その企業特有の特徴の見つけ方

その会社の独自性を知る上で役立つのが会社のホームページです。会社の概要や理念もわかりますし、採用情報を見れば勤務時間や給与などの基本的な情報も確認できます。
ただ、会社自身が作成しているため、強みは見えても弱みが見えにくいというデメリットがあります。会社の理念や経営ビジョンもある程度わかりますが、経営者の考え方をもう少し深く知りたい場合は、経営者のブログやフェイスブック、ツイッターなどを見るのが役に立ちます。

 

大きな会場で開催される合同説明会でも各会社の特色を知ることができます。合同説明会では複数の会社のブースがあるので、興味のある会社のブースに行って話を聞きます。ただ、特定の会社しか参加しない傾向があり、必ずしも自分の希望の会社が参加しているとは限りません。
また、合同説明会の場合は、ホームページに載っている程度の情報しか得られないこともあります。ですから、受け身で参加するのではなく、その会社について調べた上で、より深く知りたい点を質問できるように準備して参加するといいでしょう。

 

各会社が独自に開催する個別説明会もあります。内容は各社様々で、詳しい説明を聞ける場合もあれば、概要だけしかわからないこともあります。社員や内定者の話も聞けるようなら、より実態に即した情報を得られます。
実際に会社を訪問するのでオフィスの雰囲気なども知ることができます。また、会社が開催する説明会に出席しないと応募できないこともあるので、事前に確認しておきましょう。

 

その他に情報を集める手段として大学の就活支援室や相談室を活用することもできます。ここでは求人票や会社案内を見ることができ、会社の概要を知ることができます。名簿を閲覧して大学のOB・OGとコンタクトを取りOB・OG訪問につなげ、さらに詳しい情報を得られる可能性もあります。

 

就職情報サイトのマイナビやリクナビなどから興味のある業界や会社についての情報を得ることもできます。また、就活をしている人同士が情報を交換できる、「みんなの就職活動日記」などの掲示板もあります。ここでは、新卒採用についての企業情報や企業に対する口コミなども確認できます。

 

会社独自の特色を知る上でのその他の情報源は雑誌や書籍です。東洋経済新報社の「会社四季報」は約3600社の上場会社・店頭会社に関する情報を乗せています。就活をしている人たちだけでなく、取引先の調査やマーケティングなどのために会社自体も活用している情報雑誌です。
「週刊ダイヤモンド」は、タイムリーな情報を扱う雑誌です。経済や金融、会社情報を主に掲載しています、その他には「週刊東洋経済」「日経ビジネス」といった雑誌もあります。雑誌ではインターネットからは得られない情報もたくさんあるので、いずれかの雑誌を定期購読するのは、業界や希望する会社のことをより深く理解する上で助けになります。

 

その会社や業界に関する最新のニュースにも精通しておきましょう。新商品の発売や新しいサービスの導入、事業展開などに関する情報をチェックします。ニュースの利点は、自社のホームページだけでは読み取るのが難しいその会社の課題も理解できるという点です。
新聞を読んで、課題解決のためにどんな方法が有効か考えてみることができます。面接では「我が社の課題は何だと思うか」と言った質問をされることもあります。

特徴から同業他社と差別化しよう 

会社に関する情報を収集したら同業他社と差別化するために情報の分析をする必要があります。まず、その会社の事業内容を確認したら、その内容は業界全体の傾向などから見てどうなのか、この会社はどういう方向性を持っているのかといったことを分析します。
分析をする際にはその会社に開かれている「チャンス」、会社にとって「脅威」となっている状況について考えます。また、目標を達成するうえで有利な点、つまり「強み」と目標を達成するうえで障害となる点、「弱み」を分析します。

 

たとえば、ネットで予約、購入が簡単にできる現在の状況は、直接営業を主とする会社にとっては「脅威」と言えます。しかし、ネットで予約や購入をする習慣がなく、対面の接客を好む、金銭的に若者よりも余裕のある高齢者層を顧客とするのであれば、「チャンス」と言えます。
また、ネットビジネスの経験がないことはこの会社の「弱み」であり、対面営業の実績、ノウハウがあることは「強み」になります。このように分析するとその会社と他社との違いがはっきりします。分析ができたら自分ならどんな経営戦略を取るのかを考えてみます。そして会社説明会などで会社側はどんな戦略を取っているのか質問してみます。こうすることでより深くその会社のことを理解できるようになり、面接の際の質問に答える面でも有利になります。

 

次に働き方を比較してみます。会社の中には毎日ほぼ提示に退社できる、社員数が少なくアットホームな環境の中で働けるといったところがあります。また、会議や長時間の会議が少ない、育児中などの従業員向けに週休三日制を導入している、毎月の最後の金曜日は午後3時に退社をするプレミアムフライデーを採用している、在宅勤務やリモートワークがあるなど働き方の面でそれぞれ特色を持つ会社があります。

 

働き方についてはホームページなどでもある程度理解できますが、最もいいのはOB・OG訪問をして実際に働いている人たちの話を聞くことです。1日のスケジュールや職場の雰囲気、どんなことにやりがいを感じているかなどについて質問してみましょう。会社の実態がわかると自分に合った職場かどうかがはっきりとわかり、面接でもなぜその会社を選んだのかについて説得力を加えることができます。

 

取り組み方としては、自分の希望の会社とライバルに当たる会社、また業界トップの会社を比較してみます。その会社はライバル会社との個別化を図るために何らかの戦略を打ち出しているはずなので、両者を比べることによってその会社の独自性がより明確になります。たとえばGU(ジーユー)をユニクロと、ワークアウトをライザップと比較するといった形です。

まとめ

面接官はこれまでに何十人、何百人という応募者と面接をしています。ですから、本当に業務に意欲的に取り組める人材か、将来的に会社に貢献できる人材かということを的確に見極めることができます。企業研究が不十分でその会社のことをあまり知らない人よりも、会社についてかなり詳しく知っている人のほうが働く意欲があるとみなされるのは当然のことです。
また、情報を集め分析していると、会社が求める人物像をしっかり把握できるので、それに沿った志望動機を伝えることができ、会社に必要な人材と判断してもらうことができます。

 

複数の会社について調査して比較し、差別化するという作業は多くの時間を必要とするものですが、これを行うことによって、採用される可能性を高められるだけでなく、自分に適した会社を見極めることができ、後悔することなく長く働くことができます。さらに研究によって身につけた基礎的な知識は、社会人として生活する上で必ず役立つものです。

自己PRや志望動機ができたら誰かにチェックしてもらおう

自己PRや志望動機、面接など自分自身で「できた」と思っても必ず他の人からチェックしてもらってください。家族や友人では恥ずかしいと感じられる方は以下のようなサービスもございます。プロの目からアドバイスをもらうことができ、また就活の悩みも相談できるのでおすすめです。